このお医者さん、私は生涯忘れることはありません。
つま先の狭いパンプスを履いたら、親指の爪が食い込み痛かったので医者に行きました。そのお医者さんはかがんで私の親指を見て、何かを始めました。
「痛い!」
親指を見ると血が出ています。何が起こったのか、そのときは全く分かりませんでした。
そうです、予告なしに爪をはがされたのです。もちろん麻酔なしです。この突然の治療?行為に私は「痛い!」と思いっきり心を込めてそのお医者さんに言いました!
そしたら、
「你疼,我不疼。(あなたは痛いけど、私は痛くないよ!)」
と満面の笑みで明るく交わされました。
そこで私はもう一度「疼!」と言ったけれど、相変わらず「ハハハ」で交わされました。
このあともパンプスを履いてまた爪が食い込み、このお医者さんにお世話になりました。行く私も私ですが、何か憎めないお医者さんでした。あの明るい笑顔でハハハと返されると怒るにも怒れません。不思議な魅力があるお医者さんでした。
これも台湾ならばの治療かもしれません。今思えば良き思い出です。