外国人技能実習生 1人の人件費 ・・・実は正社員1人より高い

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多くの人は外国人を雇用した方が人件費はかからないと思っているのではないでしょうか? 答えはNOです。

外国人技能実習生は1年目は研修生として、2年目に入る前に実務と日本語試験に合格すれば、2、3年目は実習生として日本で働くことができます。(現在、最長5年になりました)

 

受け入れに関して携わらなかったことも数多くありますので、その点はご了承ください

 (技能実習制度利用:1999~2008年頃)

目次

受け入れ人数

日本人20名で研修生を1名を受け入れることができたので、これを最大限に利用しました。首都圏の会社(A社)は1期20名、3年滞在できますので常時60名、地方の会社(B社)は1期3名、計12名を受け入れました。

 

住居の準備

A社

以前から近くのアパート一棟(10部屋)を日本人寮として借りていたので、日本人には退寮してもらい、中国人寮として使いました。受け入れ人数が増えた結果、同じ敷地内の空き家だった平屋も借り、さらに会社の敷地内に寮を建て、住居を準備しました。

 

B社

敷地内に寮がありましたので、そこを提供。

 

~必要な経費&初期費用(会社)~

・家賃、保険など

・ベッド、たんす、こたつ、冷蔵庫、炊飯器、鍋、食器、ふとん、シーツ、カーテン、電気カーペット、エアコン、その他

・入国後、必要となるトイレットペーパー、各洗剤などは会社で支給

・制服

 

~環境も大切~

・A社で借りたアパートは会社から歩いて1~2分くらいのところです。会社の駐車場として借りていたところの敷地内で、大家さんの娘さん家族も住んでいましたので、安心と言えば安心です。公園に面していたのでよい環境ではありますが、夜は逆に怖いことでもありました。

・下着泥棒にもよく遭い、見知らぬ男性が夏に部屋の前で部屋をのぞいていたこともしばしばありました。

・会社から寮までの距離、夜は安全か、周りの環境には配慮する必要があります。

 

日本に来るにあたって

・約半年前に選抜試験の実施するので、数名が2泊3日で中国へ出張。中国の送り出し機関のスタッフもこの選抜に加わります。中国の送り出し機関が募集、手続き、試験会場などの手配をしてくれます。

・会社は研修生の入国時と3年後の帰国時の飛行機代、保険、諸費用を負担、必要であれば、日本入国後と帰国時に大型バスを手配。

 研修生は日本入国前日に上海に入り1泊します。この費用は中国の送り出し機関が支払っていると思いますが、おそらくこの費用を含めた保証金を全員、送り出し機関に支払っています。当時日本円で約30万円を送り出し機関に支払ったそうです。親戚や友人から借金をして日本に来ました。

・合格者のビザ取得などの諸手続(日本の受け入れ機関が代行)

 

入国後

・日本語研修(約1ヶ月間)← 法律で時間が定められています

最初は日本語学校の教師に来ていただきました。約1ヶ月間、1日8時間です。教科書代も入れれば、かなりの額です。(その後は私が日本語を教えました)

 

研修生(1年目)にかかる1ヶ月の費用

・研修手当

・ 寮費(水道光熱費含む)

・ 中国送り出し機関への管理費

・ 日本受け入れ機関への管理費

・ その他

**********************************

・保険

・ビザ更新料(日本受け入れ機関が代行)

・技能検定試験料(実務と日本語)

  →不合格だと追試。追試に落ちると帰国となる。

 

実習生(2、3年目)にかかる1ヶ月の費用

・ 給与   (寮費など天引きあり)

・ 社会保険 (会社負担分)

・ 中国送り出し機関への管理費

・ 日本受け入れ機関への管理費 

・その他

**********************************

・ビザ更新料(日本受け入れ機関が代行)

 

【補足】

研修生(実習生)1名の毎月の管理費

   → 中国の送り出し機関へ1万5千円

   → 日本の送り出し機関へ1万円。

※これは会社によって違うのか、あるいは皆共通なのかは分かりません。

 

まとめ

単純計算になりますが、

 

日本人新卒の額面給与に会社が負担している社会保険料などを加えると、研修生や技能実習生1人にかかっている費用の方が日本人1人を雇用するより高いのがお分かりになるのではないでしょうか。さらに生活面でも必要なものを支給、寮の修理などが加わります。

さらに慣れない異国での生活で体調を崩すこともあります。そのときに言葉の不安がなく対応できるサポートも必要です。通院もそうですが、入院を要することもあります。手遅れにならないように常に全員の健康管理をする必要があります。

異なる国に生まれ育ち、国の体制、生活環境や受けた教育も全く異なり、不安だらけの環境で安心して生活ができ、Winwinの関係でいかに利益を上げるか、受け入れ側の大きな課題です。