研修が始まる

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去年の12月にあるメールが入りました。「登録販売者講師募集、未経験者歓迎」。

登録販売者の資格は取得し、その知識を生かせる仕事はしていても、実際にその資格を生かす仕事はしていません。薬局で週1日勤務ができればと思いますが、そんな虫のいい話はありません。

薬剤師不足のため、「登録販売者」という資格ができ、大衆薬のほとんどを売ることができるようになりました。当時は現場で毎月〇時間以上、連続1年以上勤務した者しか受験資格を得ることができませんでした。私は現場経験と受験資格が欲しくて薬局に勤務しました。

27年度から受験資格の制限がなくなり、誰でも受けられるようになりました。そのせいか、受講生のほとんどが初めて薬学を学ぶ人たちです。

1日6時間×7回、講師にとっても生徒にとってもハードです。私は教室の後ろに座って、授業を聴講しています。教えるという立場で授業を聴くと、講師の技術のすばらしさに改めて気付きます。

以前の受講生は、ドラッグストアや薬局勤務の人がほとんどでしたが、今は初めて「薬学」に触れる人です。その人たちを決められた時間内に薬学を教え、合格に導かなければならなりません。正直、薬の成分名は外国語のようなもので、人体の臓器の名前や働きもそう簡単には頭に入るものではありません。

去年までは1日6時間×6回だったが、内容が難しいため、今年は一日増やし7回になりました。

私は二人の大ベテランの先生の授業を聴講させていただいています。現場経験もあるし、怖いものなしだろうと勝手な思いを巡らせていました。しかし、授業を聴いていくうちに、それは私の浅はかな感想に過ぎないことに気付きました。今年から1日増えたということは時間配分も当然のことながら変わりますし、しかも受講生は薬学に触れたこともない人、年齢層も幅広いです。お二人とも家で授業の通し練習をして、時間配分、重点箇所の確認を何回も行っているにちがいありません。このことは何気ない会話から察しできました。

午前3時間、昼休み、午後3時間、授業中はずっと話しているのに、先生は喉を潤すことはありません。この長丁場の授業の集中力を途切らせず、しかも受講生の様子もきちんと観察し、授業も時間ぴったりに終わります。

知識を相手に伝えること次第、とても難しいのに、受講生を短期間で合格に導かなければなりません。教える技術、自分の集中力、体力・・・。講師に求められていることの多さ・・・。

台湾留学時に日本語教室で日本語を教えたし、個人レッスンもしました。中国人研修生にも日本語を教えた経験があるが、今回は今までとは違います。甘かったです。 こういう気づきの機会を与えられたことに感謝です。