前回のフランス人の女の子の話から、大人の外国語の忘れ方は違うと書きました。そのことについて二人の方について触れてみたいと思います。
一人は国語日報でクラスメートだった中学生と小学生のお母さん。記憶は定かではありませんが、台湾駐在は2回目で中国語を習ったことがある方だと覚えています。授業中で先生が言うことは全て分かっているようでしたし、受付でのやりとりも全然問題ありませんでした。ちなみに私は同じクラスでも先生の言うことはチンプンカンプンでした。
1回目の駐在時に中国語を学んだとしても今回まですでに10年近くは過ぎていると思いますし、日本で勉強を続けてはいなかったと思います。だけど、頭に入っていますし聞き取りもできる。フランス人の女の子は(環境が違いますが)4か国語目を学び始めた時点で、1か国語をきれいに完全に忘れてしまったということから、子供が自然に覚えた第2外国語よりも(もちろん維持するために努力していた場合を除いて)、大人が理解して苦労して覚えた第2外国語の方が忘れづらく引き出しからすぐ出せるような感じがしました。
もう一人の方は以前ご紹介した引っ越し先の上の階に住んでいた赤ちゃんのお母さんです。日本でお会いしたとき、他の方から「中国語を話して」と言われたとき、突然なことだったにもかかわらずきちんと話せていました。もちろんこの方も帰国されてから勉強はしていません。当時2~3歳児だった女の子は小学生になっていましたが、(当時は)日本語と中国語に反応できていましたが、そのときは日本語のみでした。自分が中国語に反応していたことすら覚えていてません。
幼い時海外にいて、その語学力を維持して大人になっている方は全員語学力を維持するために猛勉強されてきています。ロシア語通訳者だった故米原万理さんの本からもそれがうかがえました。また知人のお母さんも海外帰国子女だった子供さんのその勉強ぶりについて、チラッと話してくれたことがあります。私は海外にいて日本人学校に通わなかった人やある年代の日本語がきれいにぬけている方の言葉の習得の仕方には大変興味がありますので、そういう方に出会えば必ず言葉でどんな悩みがあったかを聞きます。その方たちは実際に私たち日本人が中高時代に英語を学ぶ以上に日本語と第2外国語を勉強をしています。
またこのような話もご紹介していきたいと思います。