留学後の進路

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日本に来て30年近く経った女性の話をご紹介したいと思います。人それぞれですが、こういう意見もあるということを卒業後の進路に悩む若い方に少しでも記憶に残していただければ幸いです。

その友人は田舎で文化大革命の影響を小学生から高校生まで受けましたが、文化大革命後の特別措置期間内に努力して見事に中国の超一流大学に合格、卒業後は国費で日本に留学しました。大学院卒業後、日本に就職、結婚、出産、子育て・・・とよくあるケースです。(今は働いていません)彼女の経歴は誰もが羨みますが、今の彼女が幸せかという決してそうではないのです。

多くの留学生は卒業後、さらに語学力を磨くため、また家族、友人への面子もあり、そのまま日本で就職する人が多いと思います。友人もそんな一人でした。まして30年前に日中を操れる人材は大変貴重だったと思います。

友人曰く、「(せっかく日本語を学んだのだから、日本語を生かした仕事と思い)語学を生かすことにこだわったけれど、仕事は語学にこだわらず、きちんした会社(環境)に身を置くべし。」 そして一言、「中国に帰ればよかった・・・」。

仕事は何の仕事をするのか、どういう人間がこの職場に集まって来るかという基準で検討した方がよいと彼女同様、私自身も思います。その国に居れば、その国の言葉はできて当たり前で武器にはなりません。問われるのは言葉ではなくて、「何ができるか」です。言葉を磨くために日本に残っても、日常生活で使う言葉、職場で使う言葉は限られています・・・。言葉にこだわって日本にいても、日本語がうまい人はたくさんいるし(できて当たり前)、しかも若い子は毎年次々と中国からやってくるのだから、日本語ができることは武器になりません。就職して一度辞めてしまうと、その先の現実は厳しく、言葉は武器にならず、若さのない人間にとっては外国生活は本当に厳しいということです。

また日本で生活をしていくにつれ、中国人でも日本人でもなくなる、帰国しても親、兄弟、友人とはズレが生じる、日本にいても中国に居ても自分の居場所がない。これは悲観的になるというわけではなく、現実に誰もがぶつかることなので、これを受け入れることができず悩んでしまうタイプなら、卒業後の進路はよく考えた方がいいかもしれません。

外からみると、日本に留学して日本に就職というとかっこよく見えますが(今は分かりません)、実際はプライベート、仕事においてどうか、母国と働いた場合と比べてどうか、そこは熟慮した方がいいと思います。

(これは海外に留学した日本人にも言えることだと思います)

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彼女みたいなケースは意外と多いと思います。ある別の中国人は「中国に帰っても友達がいない」とそのまま日本にいますが、実際日本で友人がいるかは疑問です。日本に居れば、母語の中国語力は落ちるし、日本語も分からないことだらけ、日本人は理解できない・・・と言った具合ではないかと思います。

上述のことは決して悲観的になっているのではなく、50歳を過ぎているからこそ、実経験から言えることだと思います。若い時は分からないものです。彼女が「中国に帰ればよかった」と言ったのはこの30年近くの日本での生活からだと思います。親が病気になっても時期によっては飛行機が取れず、親の死に目に間に合わないこともあります。また飛行機代が高くて家計が苦しくなることもありますし、歳をとればとるほど、この移動はとてもつらくなります。

私は帰国して大正解でした。年齢を重ねたからこそ、彼女と同じ考えです。そして仕事は言葉を生かすことにこだわらない方が結果的にいろいろなことにつながると思います。私は言葉を生かしたくて、中国語を生かせる仕事にこだわりましたが、今だから言えることは、言葉にこだわらず、その会社の質、そこに集まってくる人たちの質を徹底的に調べればよかったと思います。傍目からみれば、言葉を生かせる仕事に就いていると思う人がいたかもしれませんが、私の経験から言葉はほとんど使いませんでした。私の場合、中国人が60人ぐらいいても中国語を実際話すのは1年間で24時間、いえ12時間もなかったような気がします。

次回は、これと同様、中国人女性医師の心情をお伝えしたいと思います。

 

 




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