子供の第2外国語を振り返って・・・語学力と将来性との関係

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外国語を話せたら、収入は本当に増えるのでしょうか? 就職、転職には本当に有利なのでしょうか?

語学力と将来性、つまり就職、転職に有利か、また中国人研修生と接して、中国人と同僚として仕事をした私個人が感じたことを書き記したいと思います。何かしら、参考になればと思います。

仕事で使うということは言葉は通じて当たり前なのです。語学力とは何を指すかは人によって異なりますが、相手が言いたいことを聞き取れる、理解できる、そして伝えたいことを伝えることができる、目で何が起こっているか察することができる(=空気を読む)ということは大前提だと思います。

これは母語でも難しいことだと思いませんか?まして、こういう要素は人間関係を良くも悪くもします。また母語の日本語で書いた報告書や文章は自分が伝えたいことが相手にきちんと伝わっているでしょうか?

生粋の日本人同士でも言いたいことをきちんと伝えられているか、きちんと相手の真意を汲み取っているかと言えば、日常生活で起こっていることは誤解の方が多いかもしれません。

つまり生まれ育った日本で、母語の日本語でさえ、正確に聞くこと、伝えること、書くことができていないのに外国語でできるかということです。人それぞれ育った環境も考え方も違います。日本人同士だって難しいのですから、別の国の人間が発する言葉の背景、文化、真意等を読み取ることは容易ではありません。

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外国語力はどんなにできる人でも母語の6~7割で、母語を超えることはないと言います。片言でよければ、それでいいのですが、何か高い目標を持っている人なら、日本語力を高めることが大切ではないかと思います。

私が会社の翻訳で一番苦しんだのは、日本語の語彙力でした。ピタッと当てはまる日本語を瞬時で出すことができず、類語辞典、テレビ、新聞から探し出していました。外国語がどんなにできても、それを母語に変換する語彙力、文章力がなければ全くの役立たずです。基本は国語力です。

私が読書するようになったのは高校卒業後あたりでしたが、これは本当に大きな損失でした。小学生のうちから本を読んでおけばよかったと思います。国語力だけでなく、多くの人の考え方、生き方を知ることによって、多くの選択肢を知ることができましたし、負から正への発想の転換が容易にできたと思うからです。

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話を戻します。私が今までに中国人と仕事をして、目で読み取る(=空気を読み取る)、目で覚える、洞察力で感心させられたのは義務教育も満足に受けられなかった研修生たちでした。(エリートを除いてです)時代の影響をまだ受けていた世代、地方で生まれ育ち、高校には進まなかった子ばかりでしたが、私が接してきた中国人の中では、(エリートを除けば)本当に頭がいいと思った子たちです。きちんとした教育を受けさせたら、恐ろしいと思いました。中学校も家の事情できちんと通えていたかはそれは疑問でしたが、賢いと唯一感心させられた子たちでした。

(ちなみにですが、計算は早い、対処法は書物は読んでいないのに古典で学ぶことができる処世術?を身につけていましたし、経済力、モノがまだ普及していなかったこともありますが、日常生活で必要なものはゼロから自分で作り上げることができていました→知人曰く、昔の日本人もそうだったとの事)

同僚として働いた中国人に対して思ったことは、日本語でやりとりができても母語の中国語力はそれほど高くないのではと思うことの方が多かったです。もともとの理解力と洞察力が影響してか、結局は言葉ができても、相手が何を求めているか、相手の真意を読み取ることはできているとは思えませんでした。

言葉に疎い日本人同僚たちからもだんだんと言葉と仕事の能力の関係が分かってくると、「言葉はできなくてもいい、きちんとやってくれる人がいい。言葉ができる人が必要なら、通訳を雇えばいい」という声が聞こえてくるようになってきました。真面目で正直で一生懸命にやる人なら、もちろん語学の向き、不向きがあっても、仕事で必要ならば一生懸命に勉強するからです。難しい複雑なことが常時必要ならば、レベルの高い人を雇えばよいからです。これは一見人件費がかかりそうですが、実は一番コストをかからない方法だと気づいている人は気づいています。

言葉ができるというだけで採用すると、場合によっては負の部分の方が多くなるということは頭に入れておいた方がよいと思います。もともとの理解力がないと、何回言っても分からないからです。

上記のことは外国人を同僚として働いている人は気付き始めています。そうなんです、もともとの読む、書く、聞く、伝える、理解、考えることが母語でアウトプットできなければ、母語でさえ相手にきちんと伝えることができないということです。

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近い将来、小学生から英語の授業が始まりますが、個人的にはどうかなと思います。前回も申し上げましたように、小さい時の語学力を維持している人たちは、小さい時から外国語、母語ともに猛勉強していますし、親も協力をしています。子供だけの努力での維持は難しいと思います。

私自身、高校まで日本語だけの環境で育ったにもかかわらず、台湾から帰ってからは(今も)日本語に苦しめられていますから、子供の時に中途半端に英語に力を入れてしまうと、猛勉強しない限り母語である日本語の読む、書く、聞く、理解力は落ちてしまうと思います。これはもしかしたら、以前私がご紹介した3か国語は話せるけれど、きちんと話せる言葉が一つもなく、自分が言いたいことが言えない子になってしまうという似たような現象が起こってしまうかもしれません。母語で伝えたいことが伝えられないことは本人にも大変つらいことです。このまま社会人になったら、どうでしょうか答えるまでもありません。

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言葉って、誰から習うかでも将来が違ってくると思います。現に今の私がそうです!!!

確かに早いうちに耳慣れをすることは良いことだと思いますが、子供にも先生との相性、向き不向きがあると思います。ここで躓いたら、そこで英語大嫌いになる可能性も高いのでは思います。そしたら、その方が一生の大損失のように思います。

私が見ている限り、語学ができる人は小さい時に学んだ人ではなくて、「毎日コツコツと勉強をしてきた人、そして今も勉強を続けている人」です。