乳幼児にとっての外国語

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台湾でお世話になった方が子供を産み、その子の成長と言葉についておもしろいなと思ったことがあります。

一人は私が台湾に行くことのきっかけとなった方で、子供ができたのをきっかけに郊外の天母(日本人学校のある区域で日本人が多く住む所)に引っ越すことになり、私もその方の近くへと市中から天母に引っ越しをしました。もう一人の方は引っ越し先の上の階に住んでいらした方です。

前者は子供が生まれてから、基本的に日本人との付き合いが主でした。ママ友も日本人駐在員の奥さんです。後者は小学生の子供がいましたし、台湾のいろいろな方ともお付き合いをしていました。

後者の方に赤ちゃんが生まれると、日本人は日本語で、台湾の方は中国語で子供に話しかけていました。その繰り返しをしていると、不思議なことに赤ちゃんが成長して言葉を発するようになると、ちょっとした挨拶でも日本語には日本語で、中国語には中国語できちんと反応ができているのです。当の本人は意識なんてしていないでしょう。でも本当に母語のように区別して反応できるのです。

言葉を覚えさせようとしなくてもその時期(あとで知った”臨界期”)にその環境にいれば、言葉は自然に苦労をせずに自然に身についていくものだと思いました。しかし、これは特別な環境下においてでの話です。その家族はその子が2~3歳の時に日本に帰国した記憶があります。帰国後も会いましたが、2~3歳児でしたから、中国語の記憶すらありません。

幼児期においても同じことが言えるようです。以前、小学校での面談した子は日本語が話せたのに中国へ戻って2~3か月で日本語をすっかり忘れてしまい、中国語しか話せなくなってしまいました。間もなく日本に戻ったものの、日本語が全く思い出せない状態でした。また、通訳学校で知り合った日本語が母語だけど、中国語をネイティブのように操る中国人女性がいました。なぜ、中国語を母語同然に操ることができるのか、彼女から聞いた話も順次ご紹介したいと思います。