勉強熱心な社会人女性

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(当時の私から見て)台湾女性は”なんてパワフルなんだろう”と、仕事が終わってから語学教室に通い熱心に勉強をする姿が大変印象に残っています。なぜなら、家庭を持ちながらフルタイムで働き、さらに夜も教室へ通い勉強をするからです。

当時、台北市には多くの英語、日本語教室がありました。私は「邱永漢」で研修を受け、初級講座を受け持ちました。記憶は曖昧ですが、初級、中級、上級とそれぞれが確か週3回3か月、1回50分×2回、週2回は1回3時間でした。これだけでもかなりの量だとお思いになることでしょう。しかも語学ですから、復習をきちんとしなければ授業はチンプンカンプンになります。しかし、脱落者は少なく、熱心に勉強し身につけていきます。その姿を若い時にみることができたことは本当に大きかったです。

語学でなくても、自分ができることを収入にするという姿は影響が大きかったです。もちろん経済の問題もあると思いますが、常に”自分には何ができるか””自分ができることをどのように収入にできるか”ということは台湾の方から考えさせられました。

例えば、洋裁ができる人は、狭い場所に店を開き、サイズ直しや仕立てをして収入を得ていましたし、料理ができれば、屋台で食べ物を売ることができます。”知恵”と”生き抜く力”です。ゼロになっても立ち上がっていく力を身につける大切さは常に台湾女性から学ぶことができました。

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帰国後、台湾で知り合った方とお会いしたとき、次のことを話してくれました。

若い方には「お金をためなさい」と。それは勉強をするには資金が必要になるからです。娘さんには「好きなことを10年間やれば、プロになれるよ」と言っていると。

台湾にいた時代は日本はバブルで同世代は皆楽しんでいました。一方自分は同世代の人との接触はなく、さらに一人暮らしをしていたこともあり、トラブルもありました。同世代とのあまりの差に嘆き、この方にこぼしたことがあります。どんな言葉をかければ分からなかったのが本当だと思いますが、その方が言ったのは「蒔いたものは必ず刈り取るよ」という言葉でした。

当時から30年近く経ちました。蒔いたものではないけれど、社会情勢が変わり、その言葉は現実なものとなっています。45歳定年、早期退職、終身雇用制の崩壊となり、バブル世代の同世代を直撃しています。当時高校時代のクラスメートだった男の子が「大学時代、全く何の苦労もしていないのが怖い」と言っていましたが、時代の流れでその予感は現実のものになっているかもしれません。

当時の中国人の大学生活についても別途書いていきますが、中国人と日本人の勉強量は全然違います。とは言っても、身につけた学問も時代の変化によって役立たなくなることがあります。すでに私も直面しています。いろいろな意味を含めて、私が富裕層から学んだ”どんな時代になっても生き抜く力”、そして大人になっても勉強を続ける台湾女性たち、現在も大きな刺激を受けています。