お買い物で喜んでいただく

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週に一度、二人のおばあちゃんの買い物のお手伝いをしています。一人の方とは一緒に近くのスーパーに買い物へ行き、もう一人の方は頼まれたものを代わりに買いに行きます。

二人のおばあちゃんをみていると当たり前のことは当たり前でないと改めて気付かされます。買い物支援という些細な仕事ではありますが、回数を重ねるに連れてだんだんと分かってきました。”自分で歩いてスーパーへ行き、自分が食べたいものを選んで買う”という、ごくありふれた健康な人ならば普通にしていることは、実は誰にでもできることではないのです。

外出時には杖をついて歩きます。アスファルトの道はデコボコしているところや平らのようで段差がある所もあるので、ちょっとしたことで躓いて転んでしまうリスクがたくさんあります。道路の横断も若い頃のようにいかないので、”外に出る”行為そのものがリスクにつながっています。

躓いて転んだら、骨が折れる可能性もありますし、場合によっては寝たきりになる可能性もないわけではなく、夏の暑い日は熱中症になる可能性もあります。歩いて5分ぐらいの所でも何回も休憩をとらなければいけないので、一人で買い物に行かせるということを家族がさせないのはよく分かります。

(買い物途中で友達に会って互いに「遊びにきてね」と声をかけても、外に出ることが互いにリスクになっているので(一人では危ないので)、家は近くても行き来はほとんどないようです)

 

介護保険が使えるならば、週一でも決まった時間に出かけることは気分転換になるし、体力作りにもなり、家族以外の外部の人間と接するのもいいのではと思います。何よりも食べたいものを自分の手に取って選ぶ、おしゃべりをしながら歩くということが大切だと感じます。そして、これは決して高齢者の誰もができる当たり前のことではないことが今身に沁みてよく分かります。

 

私が代わりに買い物をしているもう一人の方は毎回「今(スーパーに)何があるかしら?」と聞くので、当たり前のことしか答えませんでしたが前回あることに気付きました。

この方はよほどのことがない限り家の外に出ないし、独りだから当然誰とも接していません。当然、外の変化やいろいろな情報を知る余地がありません。私は全くこのことに気付きませんでした。当たり前のことは当たり前ではないのですよね。今は一年中何でも手に入り季節感がありませんが、なるべく些細なことでも気付いたことをお伝えして外の変化を知ってもらい楽しんでもらおうと思いました。

自分の母を含めて高齢者の生活をみると、人間は結局は独りだなと思います。子供がいてもいなくてもです。避けることができない老後を買い物支援をすることによって、以前とは違う視点で捉えられるようになってきています。